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文系デザイナーが1から学び直すFlash+ActionScript

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2009年7月の日記

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はじめに

もともと、Flashというソフトウェアは、ベクターベースの軽いアニメーションを作るためのものとして開発されていて、僕をはじめ、僕と同じ世代の多くの方は、ウェブサイト上でアニメーションを表現するために、Flashの使い方を学びましたよね。僕も実際、細々としたオブジェクトを綺麗に動かす、という技術を磨くことに一生懸命になっていたと思います。

ところが、ある段階から、スクリプトを書くことによって、時間軸とは関係なくオブジェクトを動かしたり、ボタンなどのナビゲーション要素を作ってあげたりすることで、Flashだけでサイト全体を作る、という技術が発展してきました。(ちょうど、ver4の頃からだと思います。)Flashのバージョンが進むにつれてスクリプトの環境は整備され、だんだん、高度なものがいろいろと出来るようになってきます。ただし、数学とプログラミング、という、ごくごく理系的なスキルがあれば、の話です。僕もまだ、数行程度のスクリプトであれば、何とか意味を理解してそれなりに作ることができましたが、まったく手に負えなくなるのは時間の問題でした。僕は、小学校のころ算数は得意だったかなぁ、くらいの文系だったからですね。

数年前、明らかに理系なほうのデザイナーの方と一緒に仕事をすることがあって、彼から、「僕のような理系が書くプログラミングと、君みたいな文系のやるシズル的な細かいビジュアル表現とが協力してうまく合わされば、とても良い感じになるのではないか」というような意味のことを言われたことがありました。その頃から、「ああ、これからはFlashの制作も分業の時代なんだなぁ…プログラムは誰かに任せればいいんだなぁ」という風に考えるようになりました。

実際、大企業のプロジェクトは大規模化する一方で、僕の仕事も静的なレイアウトだけ作って、動かすのは他の人の仕事、という感じになっていき、段々と、自分でFlashそのものを触ることはなくなっていきました。(僕の場合、紙モノのデザインもやる会社にいて、そっちのほうが多かったりしたことも理由としてはありますが。)そのため、フルFlashでのサイトの作り方は、すっかり解らなくなってしまいました。以降僕は、AfterEffectsによるエフェクト表現とか、音楽とか、3DCGなど、主にプログラムと関係ない表現のスキルを、いろいろと磨いていく事になります。

ところが昨今、フルFlashのサイトがごく当たり前に使えるようになってきて、こんな案件話がことに増えてきました。
元請けのディレクター(以下D)「ページ数20くらいでフルFlashのサイトを作りたいのだけど…」
僕「あー、フルFlashですかー。じゃぁオーサリング(Photoshopとかで作ったサイトの見た目の画像を、Flashで実際に動くように作る作業)出来る人呼ばないとですねぇ…。」
D「それが〜、意外といないんですよねぇ〜。」
僕「はぁ〜。確かにそういわれてみると少ないですよねぇ〜。オーサリング(だけ)頼めるひと…。」

フリーランスで、WEBプログラミングを「専門に」やってる人、って案外少ないんですね。確かに、WEBプログラムを中心にやるにしても、一緒にデザインも出来るから楽しい、というようなことはあるような気がします。デザインと関係なくプログラムが好きな人は、WEB以外のほうが、やり甲斐のある仕事が沢山考えられて、そちらのほうへ進んでしまうのかもしれません。

さて、そしたらどうすればよいのか。

「とりあえず、ある程度は自分で勉強し直してみるか」と考えるのが無難です。

そんなわけで、以後ここへ書き込んでいくのは、このような文系の僕がいわゆる「フルFlashサイト」を何とか作れるようになるまではスクリプトを勉強する、という苦難の記録です。文系の立場から、なるたけ平易な形に置き換えて、スクリプティングについて考えてみたいと思います。もし同じような境遇の方がいらっしゃれば、そういう方と知識を共有できれば幸いです。「そのやり方はなってない!」という理系の方からのご指摘も歓迎です。


ということで、ちょっとずつ頑張っていきますので、どうぞ宜しくお願いします。

フルFlashサイトは百害あって一利無し?

これもよく言われることですが、月並みな表現ながら「一長一短」としか言いようがないと思っています。Flash化によって、ほんのちょっと動かすだけでも、クライアントやユーザーのデザインに対する印象がガラリと良くなる、ということもあれば、反対に、非常に精密にインタラクション(動きや操作感)を作り込んで、数々のデザイン賞に輝いたようなサイトでも、普通の静的なサイトにリニューアルした後のほうがビジネスとしての実際の利益が上がった、という話も結構耳にします。

その昔、ウェブユーザビリティの権威、Jakob Nielsenというひとが「Flash: 99% Bad」とのたまって数多くのFlash制作者から非難を浴びたことがありましたが、「99%」という数値は、統計的にみれば案外妥当なラインだと思います。全ての企業の数のうち、大企業の占める割合は1%ほどで、残りの99%は中小企業だと言われていますから、大企業がきちんとお金をかけてきちんとした制作者を雇って作ったFlashサイトくらいは、一応「Not Bad」と判断できる、というくらいの数値として認識できるのではないでしょうか。もちろん、有り難いことに意識の高い中小企業や、残念ながら意識の低い大企業、というパターンも無いわけではないので、そこで足し引きはあると思いますが。

ということで、もともと今回の目的は「フルFlashサイトを作りたいというクライアントの要求に応えるべく、そのスキルを獲得しようとしてみる」ということなので、フル Flashサイトそのものが持っている功罪の問題については、敢えて保留にします。突き詰めれば「テクノロジーの発達と倫理の問題」という、全然別次元の難題の一部でもあるでしょうし。

いずれにしても、使いづらいサイトになるべくしない努力をする、というのは大切なことです。WEBのユーザビリティ/アクセシビリティに関する問題には、別の機会に、別の枠を設けて取り組みたいと思っています。(専門の方と知り合う機会があれば嬉しいです。)